先週、「過去経験した事がない程のレアケースを対応中」とブログに書いていました。

あまりにも恥ずかしい不手際系だったのですが、全国的にも珍しいケースなので自分たちの反省と今後読者の皆様に役立つ事があるかも知れないとの視点から今回内容を書かせて頂きます。


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ことの発端は先週の月曜日に入ったAさん(40代男性)からの電話でした。

最初は営業スタッフが対応していたのですが・・・

Aさん 「すみません、駐車場を解約したのですが口座振替が続いていまして」

営業 「どちらの駐車場ですか?」

Aさん 「名前とか忘れちゃいました」

営業 「場所的にどこら辺の駐車場ですかね?」

Aさん 「それが、あまり覚えていないんですよ・・・」


この段階で怪しい電話だと思った営業スタッフは管理課へバトンタッチ。

管理課スタッフがいろいろ聞き出して驚愕の事実が発覚。

今度は管理課スタッフが自分にバトンタッチ。

管理課 「〇〇駐車場の件でヤバい内容で手に負えない感じなんですけど」

クマ 「事故とか事件が発生したの?」

管理課 「いえ、解約したのに口座振替が続いて毎月お金払ってたらしいんです」

クマ 「解約通知で判断してうちが通知受けてるなら口振の停止ミスなんだからお金返金しなよ」

管理課 「それが、1ヶ月とかの問題じゃ無くて11年前からなんです」


・・・

自分、大抵のことでは驚きませんが今回の件はかなり衝撃的でした。

クマ 「・・・ 何だよそれ 解約したのに11年引落しされてたなんて意味不明なんだけど新手の詐欺じゃないの」

何かすぐに理解できない内容だったのですが、話を整理すると連絡してきたAさんは11年前まで当社の管理していたアパートに勤務先が法人契約をして居住していたとのこと。
元々、敷地内に駐車場が無いアパートだったので、近所で当社が管理している月極駐車場を個人契約していたのですが、11年前に転勤が決まり部屋を解約したと同時に月極駐車場の解約も申し出て解約されたものだと思っていたそうです。

(概要箇条書き)
・2005年頃に当社の管理しているアパートを勤務先が法人契約
・同時期に当社の管理している月極駐車場を個人で契約(月額6000円)
・2009年の5月頃に転勤となった。
・アパートの解約通知と同時に駐車場も解約通知しているはずとの主張
・以後、約11年間に渡り月極駐車場利用料だけ毎月口座振替で引落しが続いた
・駐車場のオーナーへ当社からの解約報告は無くAさんからの賃料を毎月送金
・よってAさんは今でも駐車場を借りていることになって引落が続いている
・返金希望の総額は約80万円


IMG_4631何だか、信じられないような話なので、真っ先に思い浮かんだ事は「何で今まで引落に気が付かなかったのか」「ホントに駐車場の解約通知をしたのか?」と、言う事です。




自分自身、過去に無管理大家さんの長期滞納案件を多数見てきましたのですが、このパターンは借りていないのに毎月支払を続けていた逆滞納的なレアケースです。

Aさんに自分から電話してみました。

クマ 「責任者のクマです、駐車場の件でお話を伺いたいのですがよろしいですかね?」

Aさん 「この度はお騒がせをしてしまい申し訳ありません、宜しくお願いします」


この段階で横柄な態度を取られたら自分も冷たく返したと思うのですが、Aさんはとても紳士的な感じで恐縮している様子です。

クマ 「まずですね、解約通知に関して部屋だけ解約して駐車場をしていないとも考えられるのですけど」

Aさん 「いやいや、こればかりはハッキリと御社に申し出してますし、解約立会した人にも伝えているんですよ」


クマ 「間違いないですか?」

Aさん 「私は解約したことをハッキリ覚えているので安心しきって引落しが続いちゃったんです」

クマ 「それにしても、11年も通帳見ないって凄いですね」

Aさん 「お恥ずかしい話ですが、仕事が忙しくてカードで引き落としてたので紙の通帳は見てなかったんです」

クマ 「ではなぜ今回の件に気が付いたんですか?」


Aさん 「スマホの銀行アプリを入れたのですが、そうしたら毎月引落しが続いてることに気が付いたんです」

クマ 「今回、あまりにも高額なので会社としても困惑してるんですよ」

Aさん 「スミマセン・・・でも、自分は間違いなく御社に言いましたし毎月引き落としをわざと続けても何のメリットも無いじゃないですか」

クマ 「そうですね・・・ ちなみに今住んでいる場所が駐車場から近かったりしてませんか?」


Aさん 「全く別のところに住んでいます、疑われて払われないとか絶対に納得できません」

クマ 「言われてる事はわかりましたけど、法的にも税務的にも怪しい取引だと問題にならないように、ある程度の根拠が欲しいので顧問の先生と相談させて頂いて回答しますよ」

Aさん 「わかりました、ご迷惑掛けますけど、お返し頂けないとか無しでお願いします」



結局、顧問の先生に確認したところ、当社のミスであるなら誠意をもって返金対応、絶対にミスが無いと言う自信があるなら争ってみるか検討とのことになり、徹底的に社内データの調査を行いました。

しかしながら、11年も前の話しなので記録らしい記録は管理ソフト上にある借りていた建物の解約履歴だけなのです。

この状態で管理会社が取る選択は

1.全額返金
2.解約通知の証拠が無いので全額無返金
3.Aさんと交渉して半分返し等で妥協



クマ 「この話、うちのミスかも知れないけど納得できない・・・ どう思う?」

と、経理スタッフに相談してみました。

経理 「当時の体制から考えるとAさんが言ってる事が正しいと思うし自分がAさんの立場だったら返金しないとか納得しないでしょ・・・」

クマ 「割り切った不動産会社だったら返金どころか解約通知を今受けたから来月分日割りで請求とか言うでしょ」

経理 「だけど絶対にうちが解約受けてないって言える根拠が無いなら変な考えしない方がいいかと」

クマ 「そうだよね、うちのミスの可能性高いと思う・・・  でも80万円は痛い・・・」

経理 「こう言うの突っぱねて争って変な運気が寄ってくるより、きっちり返して以後同じことを起こさないように教訓にした方がいいのよ、そうするとお金はまた戻ってくるから」

うちの経理スタッフも自分と同じように運気を気にするタイプなのです。

とは言え、何かしらの証拠が無いと「無い事の証明」で判断する事になりますのでもし、Aさんの言う事が正しければ、莫大な損失を与えた上で争う事になることでしょう。

もし、訴訟なりして解約の証拠が無いからと当社が勝てたとしても、当社のミスと言う可能性がある以上、後ろめたい話です。

小さな手掛かりでも無いかと探していたところ・・・

クマ 「管理ソフトと駐車場の台帳ファイルにはAさんの名前が残ってるね」

経理 「そうなんだけど、解約して無いはずの駐車場の賃貸借契約書が無いのよ・・・」

管理ソフトと駐車場の利用者配置図は解約になっていないけど賃貸借契約書が抜き出されている。

多分ですが、11年前に部屋の解約立会をした際に駐車場も解約と言う認識があり、駐車場の賃貸借契約書を引っ張り出して解約処理をしようと思って対応した貴重な形跡なのでしょう。

そしてAさんが言われる通り、毎月当社に支払い続けるなんてリスクでしかありません。

結局、今回の件に関しては、経緯と取決めを書いた覚書を締結してAさんの身分証明書を送ってもらい当社が全額返金する事で終結させました。

恐らく、大半の不動産会社は「解約通知書が無い」と返金を拒んでしまうのでは無いかと思います。

そこら辺、どっちが正しいのかわかりませんが、少なくともAさんにメリットは何も無く、当社から解約通知を受けていない駐車場オーナーも、空いたらすぐ決まる立地なので得した訳でも無く、一番悪い可能性がある当社の反省材料とする事が妥当だと自分的に納得しました。

11年前と賃貸管理ソフトの仕組みも変わっているので、同じような事は起きないと思いますが、いろいろ考えさせられた案件でしたよ。


あと、もう一点 うちの会社数年前から「賃貸住宅管理業総合賠償責任補償」と言う管理会社がやらかしたトラブルについてカバーしてくれる保険に入っています。

かなり広範囲のトラブルを補償してくれる素晴らしい内容なので期待度MAXな感じでしたが・・・

11年前のトラブル発生時から入っていないと対象にならないとの事でした

まぁ 考えてみれば当然な話です・・・


痛い話ですが、これがもっと後になって気が付いたとか、争いが続いて嫌な思いするとか考えたら仕方のない判断だったと思います。

きっとこれから良い運気が舞い込んで来る事でしょう。

ではまた明日


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