以下の記事は満室経営新聞2010年12月号の記事内容です。

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9月27日付読売新聞朝刊に「貸室での自殺、遺族に高額請求」と大きく記事が書かれていました

この記事についてブログで書かせて頂いたところ結構な反響がありました。

新聞記事は精神的にショックを受けた遺族に「家主や管理会社から過大な損害賠償を請求された」と言う内容です。

確かに身内の方が亡くなられて精神的に辛い状況は理解できるのですが、ご自分の所有している家での自殺と違い、賃貸住宅は部屋を借りている状態ですので、部屋の所有者に大変な損害を与える事になります。

金額が「過大である」か否かは、事案ごとに違うと思いますし、結局は裁判ではっきりする話ですが、貸室での自殺は貸主から借主への損害賠償請求対象になります。

損害の内容と、どのような対応が必要になるのか簡単にまとめます。
(損害)
1.部屋を通常の状況に復帰する費用の損害。
2. 次の入居者に対して自殺があった事を告げる事で賃料が下落する損害。

以下は私の賃貸管理現場での経験事例です。
※(必ず払って頂けるものではありません)

1.の復帰する費用は、室内の傷み具合や残置物の量できまります。
私の経験では自殺予告があって翌日に発見された事案以外は、1カ月から5か月後に発見された事案が多いです。
数日程度で発見された場合は臭気が部屋に付く事はありませんが、数か月となると、書けない位の室内状況になります。

原状回復の範囲も壁の石膏ボードやフローリング等部屋にあるものすべてを交換しないと臭いが抜けません。

(保証人様に請求した1R物件での費用例)
・残置物撤去費用とリフォームに入る為の清掃と消毒約35万円
・室内リフォーム費用 約45万円(エアコンや新品交換した部品は家主と折半)と、ここまでで約80万円。
※(部屋の広さや残置量、発見までの期間で金額が変わります)

2.の賃料下落に関する考え方は以下のような考えから損害額を請求します。

・物件での自殺や他殺があった事を次の入居者へ伝えないで貸した場合は賃貸借契約の解除だけでなく引越費用等の損害賠償請求をされた裁判例がある。

・通常、自殺や他殺があった事実を隠して客付すると「心理的瑕疵(かし)」のある物件を紹介したとしてその事実を知っている貸主や知っていながら仲介に入った仲介業者も責任を追及されるので黙って貸すには金銭的・道義的なリスクを負う事になる。

・上記の理由で新たに賃貸借契約を締結しようとする借主に対して事実を伝える義務、「告知義務」があると言う事になる。

・告知をする間は通常の相場賃料では借手がいないので値下げする事になる。

と、言う事で告知をしている期間中の減額予想金額が損害賠償請求額となります。

※告知期間についての考えや保険についてはこちらのリンクページでご確認下さい

※請求できること=もらえる事ではありません。

当然ながら貸主と借主の間で話し合い納得して頂いての話となりますので納得頂けない場合は譲歩するか、裁判する事になります。
私の経験した案件では物件オーナーとの判断で「通常の相場より30%下落」で「5年間告知」と主張しました。

賃料が6万円でしたので18,000円×5年=108万円を請求させていただき納得頂きました。

前記1と2で合計188万円をお支払頂きました。

結局、損害を賠償して頂いたとしてもオーナー様にとって得する事などありません。

私は、これからも「貸室での自殺=遺族に多額の請求」とのイメージをアピールしていこうと思っています。

そうする事によって部屋での自殺が少しでも抑止できれば
良いのですから。

以上、満室経営新聞2010年12月号からの転載。

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