「かたじけない」
滅多に使わない言葉ですが、たまに使う時がくるものです・・・
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きのうは、突然判明した相続人の件で売主さんと一緒にいろいろと対応してきました。
(概要)
売主Aさん(60代男性)
買主B社 (不動産会社)
判明した相続人Cさん(70代女性)
売主Aさんから、「私以外の相続人は全員亡くなったので自分の名義に相続登記します」と、言われて50年前に亡くなったお父様が所有名義人となっていた土地建物を、相続を原因として単独名義にする手続きをしていました。
これがまた、売買を委託された段階で相続登記の手続きをすれば良かったと反省していますが、売主さんの「契約が決まってお金が入る事が確定してからやります」との意向で売買契約の翌日に司法書士へ登記を依頼。
自分的には、相続人がAさん以外いないのだから揉める材料も無く、単純に法務局に戸籍謄本を持って行って完了できるだろうと思っていました。
依頼した翌日に司法書士の先生からAさんに「もう一人相続人がいました」との衝撃的な事実が伝えられました・・・
悩んだ結果、このまま住んでもいない家の固定資産税を払い続ける訳にもいかず、雑草の手入れの事や、空き家にしているリスクを考えると、新しく判明した相続人を交えて手続きを進める事にして、買主さんには決済の期日を数ヶ月単位で延ばして頂く事になりました。
Aさんは、この事が判明した翌日に、戸籍の附票に記載されていた、Cさんの住所を確認したところ、老人福祉施設だったので、電話してみたそうです。
Aさん 「なんか電話だと詳しく教えてくれないんだけど、本人は相続とか不動産とか理解できない状態みたいな事を言われましたよ」
クマ 「え〜 もしかして判断能力が無いってみられると成年後見人制度利用しないと話が進められなくなっちゃって時間掛かりますよ」
と、言うことでCさんと直接会って来ようと思い自分と二人で施設を訪問してみました。
実は自分、昨年高齢の売主さんが認知症だとわかり、成年後見人を選任してもらい土地の売却を3年掛かって完了させた事があります。
その時は、行政が間に入ってくれて、申し立てまでやってくれたのですが、今回は、Cさんの都合では無くAさんの都合なので行政が動いてくれない可能性が高いと、司法書士さんに言われていました。
施設を訪問して、自分が一通り説明したところ、ご本人さんと合わせてくれる事になり職員さんがCさんを待合室まで車椅子で連れてきてくれました。
Aさん 「初めまして、私◯◯の息子でAと申します、簡単に言うと父がCさんと一緒なので義理の兄弟だって事を知ったのでお会いしようと思ったんです」
Cさん 「父? 私は母と祖母の事は覚えてるけど父は覚えて無いよ」
Aさん 「今Cさんは何歳なんですかね?」
Cさん 「私? う〜んと・・・50歳は過ぎたと思うけど何歳なのかしらねぇ」
クマ 「昭和14年生まれだから77歳くらいですよね?」
Cさん 「昔の事なんて覚えて無いよ、子供の事も忘れちゃったくらいなんだから」
クマ 「Cさん、お子さんがいるんですね?」
Cさん 「多分、いたと思うけど何してるんだかさっぱりだよ」
Aさん 「お子さんは、お見舞いに来ないんですか?」
Cさん 「一度も来たことが無いよ、生きてるか死んでるかも知らない」
何とも微妙な話し方をする感じですが、初対面だったので、話しにくかったのかも知れません。
帰りがけに、職員さんにいろいろ確認してみました。
クマ 「もしかして、Cさんは認知症っぽい感じなのですかね?」
職員 「え? うちは認知症の方の施設なんでこの部屋にいる方全員認知症なんですよ」
クマ 「そうでしたか・・・ Cさんに後見人の方は専任されてますか?」
職員 「されていませんし、お子さんにも協力頂けないので市役所が管轄してますよ」
と、言うことでその後市役所の社会福祉課へ訪問してきました。
自分の方で、事情を話したところ、行政経由での後見申し立てについて検討して電話くれるとの事になりました。
で、市役所が終わってからAさんと一緒に司法書士事務所へ今後の打ち合わせをしに行きました。
先生 「そうですかぁ 後見人が専任されると、相続分として売却代金から経費引いた金額の2分の1の請求がありますよ」
Aさん 「Cさんなんて親父と接点が無かったのに、なんか理不尽ですね」
先生 「後見人は、被後見人に損が無いように動かないといけないんだから、親戚の人と交渉するのと違って、きっちり主張するものだと思って下さい」
Aさん 「わかりました、でしたら1日も早く相続登記を終わらせて決済できるようにお願いします」
先生 「気になるのが、Cさんの子供にも後見の申し立てをするって通知出すんだけど、いろいろ主張してくるかも知れませんね」
Aさん 「親にも会いに来ないって言うんだからお金が入るってわかったら無慈悲に何か言いそうですね・・・」
先生 「ですよねぇ その事も考えたら年越ししちゃう可能性もあるので、契約を解除しておいた方が良いですよ」
Aさん 「買主さん、多少は待ってくれるって言ってるのでお言葉に甘えようかと思ってまして・・・」
先生 「いやぁ 契約書上は、あと一週間以内なら手付の倍返しで解約出来るって事なので、それ以降の違約金10%より全然マシなんだから解除すべきですよ」
クマ 「自分もそう考えてます、買主のBさんには契約解除するけど、相続手続きが終わったら真っ先に連絡するって伝えて焦らずに進めて行きましょう」
と、言うことで、司法書士さんとの打ち合わせが終わってから、Aさんと一緒に買主社長(40代男性)の会社を訪ねました。
B社長 「は? 手付の倍返しなんてしなくても3ヶ月くらい待ちますよ」
クマ 「どうも内容的に半年くらい掛かるかも知れないので、ご迷惑をお掛けする訳にも行きませんので、申し訳有りませんが手付解除でお願い致します」
Aさん 「ほんと、スミマセン、私が父から何も聞かされていなかったもので、ご迷惑をお掛けしました」
クマ 「相続手続きが終わったら、真っ先に社長さんに連絡しますので、その時に、ご購入意欲がありましたらぜひ社長さんに買って頂きたいです」
B社長 「わかりました、Aさんもショックでしょうし倍返しではなく、差し入れた手付を返して頂ければ白紙解約と言うことにしますよ」
Aさん 「ありがとうございます・・・ そうして頂けると助かります」
クマ 「いや、 ほんとかたじけない・・・」
何度も二人で頭を下げてお礼してきました。
明日、解約文書を締結して手付金を返してくる予定ですが、ほんとこの社長さんには頭が上がりません。
密度の濃い経験を半日で積ませて頂いた上に、最後にありがたい対応までして頂き、ホント感謝です。
いろいろある仕事ですね・・・
さて、本日は朝一番から漏水でカビだらけになってしまった床下の張替え工事に立ち会います。
と、言っても工事現場は自宅なのですが・・・
ではまた明日
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売主Aさん(60代男性)
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売主Aさんから、「私以外の相続人は全員亡くなったので自分の名義に相続登記します」と、言われて50年前に亡くなったお父様が所有名義人となっていた土地建物を、相続を原因として単独名義にする手続きをしていました。
これがまた、売買を委託された段階で相続登記の手続きをすれば良かったと反省していますが、売主さんの「契約が決まってお金が入る事が確定してからやります」との意向で売買契約の翌日に司法書士へ登記を依頼。
自分的には、相続人がAさん以外いないのだから揉める材料も無く、単純に法務局に戸籍謄本を持って行って完了できるだろうと思っていました。
依頼した翌日に司法書士の先生からAさんに「もう一人相続人がいました」との衝撃的な事実が伝えられました・・・
悩んだ結果、このまま住んでもいない家の固定資産税を払い続ける訳にもいかず、雑草の手入れの事や、空き家にしているリスクを考えると、新しく判明した相続人を交えて手続きを進める事にして、買主さんには決済の期日を数ヶ月単位で延ばして頂く事になりました。
Aさんは、この事が判明した翌日に、戸籍の附票に記載されていた、Cさんの住所を確認したところ、老人福祉施設だったので、電話してみたそうです。
Aさん 「なんか電話だと詳しく教えてくれないんだけど、本人は相続とか不動産とか理解できない状態みたいな事を言われましたよ」
クマ 「え〜 もしかして判断能力が無いってみられると成年後見人制度利用しないと話が進められなくなっちゃって時間掛かりますよ」
と、言うことでCさんと直接会って来ようと思い自分と二人で施設を訪問してみました。
実は自分、昨年高齢の売主さんが認知症だとわかり、成年後見人を選任してもらい土地の売却を3年掛かって完了させた事があります。
その時は、行政が間に入ってくれて、申し立てまでやってくれたのですが、今回は、Cさんの都合では無くAさんの都合なので行政が動いてくれない可能性が高いと、司法書士さんに言われていました。
施設を訪問して、自分が一通り説明したところ、ご本人さんと合わせてくれる事になり職員さんがCさんを待合室まで車椅子で連れてきてくれました。
Aさん 「初めまして、私◯◯の息子でAと申します、簡単に言うと父がCさんと一緒なので義理の兄弟だって事を知ったのでお会いしようと思ったんです」
Cさん 「父? 私は母と祖母の事は覚えてるけど父は覚えて無いよ」
Aさん 「今Cさんは何歳なんですかね?」
Cさん 「私? う〜んと・・・50歳は過ぎたと思うけど何歳なのかしらねぇ」
クマ 「昭和14年生まれだから77歳くらいですよね?」
Cさん 「昔の事なんて覚えて無いよ、子供の事も忘れちゃったくらいなんだから」
クマ 「Cさん、お子さんがいるんですね?」
Cさん 「多分、いたと思うけど何してるんだかさっぱりだよ」
Aさん 「お子さんは、お見舞いに来ないんですか?」
Cさん 「一度も来たことが無いよ、生きてるか死んでるかも知らない」
何とも微妙な話し方をする感じですが、初対面だったので、話しにくかったのかも知れません。
帰りがけに、職員さんにいろいろ確認してみました。
クマ 「もしかして、Cさんは認知症っぽい感じなのですかね?」
職員 「え? うちは認知症の方の施設なんでこの部屋にいる方全員認知症なんですよ」
クマ 「そうでしたか・・・ Cさんに後見人の方は専任されてますか?」
職員 「されていませんし、お子さんにも協力頂けないので市役所が管轄してますよ」
と、言うことでその後市役所の社会福祉課へ訪問してきました。
自分の方で、事情を話したところ、行政経由での後見申し立てについて検討して電話くれるとの事になりました。
で、市役所が終わってからAさんと一緒に司法書士事務所へ今後の打ち合わせをしに行きました。
先生 「そうですかぁ 後見人が専任されると、相続分として売却代金から経費引いた金額の2分の1の請求がありますよ」
Aさん 「Cさんなんて親父と接点が無かったのに、なんか理不尽ですね」
先生 「後見人は、被後見人に損が無いように動かないといけないんだから、親戚の人と交渉するのと違って、きっちり主張するものだと思って下さい」
Aさん 「わかりました、でしたら1日も早く相続登記を終わらせて決済できるようにお願いします」
先生 「気になるのが、Cさんの子供にも後見の申し立てをするって通知出すんだけど、いろいろ主張してくるかも知れませんね」
Aさん 「親にも会いに来ないって言うんだからお金が入るってわかったら無慈悲に何か言いそうですね・・・」
先生 「ですよねぇ その事も考えたら年越ししちゃう可能性もあるので、契約を解除しておいた方が良いですよ」
Aさん 「買主さん、多少は待ってくれるって言ってるのでお言葉に甘えようかと思ってまして・・・」
先生 「いやぁ 契約書上は、あと一週間以内なら手付の倍返しで解約出来るって事なので、それ以降の違約金10%より全然マシなんだから解除すべきですよ」
クマ 「自分もそう考えてます、買主のBさんには契約解除するけど、相続手続きが終わったら真っ先に連絡するって伝えて焦らずに進めて行きましょう」
と、言うことで、司法書士さんとの打ち合わせが終わってから、Aさんと一緒に買主社長(40代男性)の会社を訪ねました。
B社長 「は? 手付の倍返しなんてしなくても3ヶ月くらい待ちますよ」
クマ 「どうも内容的に半年くらい掛かるかも知れないので、ご迷惑をお掛けする訳にも行きませんので、申し訳有りませんが手付解除でお願い致します」
Aさん 「ほんと、スミマセン、私が父から何も聞かされていなかったもので、ご迷惑をお掛けしました」
クマ 「相続手続きが終わったら、真っ先に社長さんに連絡しますので、その時に、ご購入意欲がありましたらぜひ社長さんに買って頂きたいです」
B社長 「わかりました、Aさんもショックでしょうし倍返しではなく、差し入れた手付を返して頂ければ白紙解約と言うことにしますよ」
Aさん 「ありがとうございます・・・ そうして頂けると助かります」
クマ 「いや、 ほんとかたじけない・・・」
何度も二人で頭を下げてお礼してきました。
明日、解約文書を締結して手付金を返してくる予定ですが、ほんとこの社長さんには頭が上がりません。
密度の濃い経験を半日で積ませて頂いた上に、最後にありがたい対応までして頂き、ホント感謝です。
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Cさんの登場には正直驚きました。世の中にはこのような現実があるのですね。またCさんも認知症ということでご家族のことなども曖昧で、複雑になりそうですね。
どうにか手続きが終わり、またB社長とお付き合いが出来ることを祈っています。
ご自宅の工事も無事に終わると良いですね(^^)。
本当に暑い日が続きますがお仕事頑張って下さい!!。